kinyukeizai.com

kinyukeizai.com

早めの実家じまいで地方の家を賢く売却する方法

by kinyukeizai.com
URLをコピーしました

はじめに

親が高齢になり、誰も住まなくなった実家をどうするか。多くの人が直面するこの問題は、「実家じまい」という言葉とともに社会的な関心を集めています。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家数は約900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」を経て、実家の処分に悩む子世代はますます増えています。

特に地方にある広い一戸建ては、買い手が見つかりにくく、放置すれば固定資産税の負担増や近隣トラブルの原因にもなりかねません。本記事では、早めに実家じまいに取り組むメリットと、地方の家を効率よく売却するための具体的な手順・費用・税制上の優遇措置について解説します。

なぜ「早めの実家じまい」が重要なのか

放置空き家の急増と法規制の強化

使用目的のない「放置空き家」は全国で約385万戸にのぼり、空き家全体の4割以上を占めています。こうした状況を受け、2023年12月には改正空家等対策特別措置法が施行されました。

従来は「特定空家」に指定された場合のみ固定資産税の優遇が外れる仕組みでしたが、改正後は「管理不全空家」にも対象が拡大されています。管理不全空家とは、現状のまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家のことです。自治体から勧告を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が最大で約6倍に跳ね上がる可能性があります。

つまり、実家を放置するリスクは年々高まっており、「いつかやろう」では手遅れになりかねません。

親が元気なうちに始めるメリット

実家じまいの理想的なタイミングは、親が元気なうちです。その理由は大きく3つあります。

第一に、親の意向を直接確認できることです。家や家財にどのような思い入れがあるか、何を残したいかを本人と話し合えるため、後のトラブルを防げます。第二に、片付けを少しずつ進められることです。親と一緒に整理を進めれば、遺品整理業者への依頼費用を大幅に抑えられるとされています。第三に、認知症などで判断能力が低下すると、不動産の売却手続きそのものが困難になるためです。

地方の実家を売却するための具体的な手順

ステップ1:家族で方針を話し合う

実家じまいの第一歩は、親族間の合意形成です。誰が主導するか、売却か賃貸か解体か、家財の処分をどうするかなど、関係者全員で話し合っておくことが重要です。特に相続が絡む場合、兄弟姉妹間の意見の相違がトラブルの原因になりやすいため、早い段階で方向性を決めておくことが望ましいでしょう。

ステップ2:家財の整理・処分

長年暮らした実家には大量の家財道具が残っています。自分たちで片付けるのが費用面では最も経済的ですが、量が多い場合は遺品整理業者や不用品回収業者への依頼も選択肢になります。

家財処分の費用相場は、部屋数や荷物量によって大きく異なりますが、一般的な一戸建ての場合、業者に依頼すると20万〜100万円程度とされています。親が元気なうちから少しずつ整理を進めることで、費用を3分の1程度に抑えられたケースもあるようです。

ステップ3:不動産の査定と売却方法の選択

家財の整理にめどが立ったら、不動産の売却に進みます。地方の一戸建てを売却する方法は、主に3つあります。

仲介売却は、不動産会社に買い手を探してもらう一般的な方法です。市場価格に近い金額で売れる可能性がありますが、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあります。

買取は、不動産会社に直接売却する方法です。売却価格は市場相場の5〜8割程度に下がるものの、早期に確実に売却できるメリットがあります。

更地にして売却は、建物を解体してから土地を売る方法です。築年数が古く建物の価値がほとんどない場合、更地のほうが買い手がつきやすいことがあります。ただし、木造住宅の解体費用は坪数にもよりますが、おおむね100万〜200万円程度かかるとされています。

ステップ4:相続登記の手続き

2024年4月から相続登記が義務化されました。亡くなった親の名義のまま放置すると、正当な理由なく3年以内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。売却するにはまず名義を相続人に変更する必要があるため、早めの対応が求められます。

知っておきたい税制優遇と費用

空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家を売却する際、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。国土交通省によれば、この特例の適用期限は2027年12月31日まで延長されています。

主な要件としては、被相続人が居住していた家屋であること、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること、1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどが挙げられます。2024年1月以降は、買主が耐震改修や取壊しを行う場合にも適用できるようになり、売主側の負担が軽減されました。

ただし、相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に減額される点に注意が必要です。

売却にかかる主な費用

実家の売却には、以下のような費用が発生します。

仲介手数料は、売却価格の3%+6万円+消費税が上限です。たとえば1,000万円で売却した場合、約40万円が目安となります。

印紙税は、売買契約書に貼付するもので、売却価格に応じて数千円〜数万円程度です。

譲渡所得税は、売却益が出た場合に課税されます。所有期間が5年超であれば長期譲渡所得として約20%、5年以下であれば短期譲渡所得として約39%の税率が適用されます。前述の3,000万円特別控除を活用できれば、多くのケースで非課税となります。

早期売却を成功させるポイントと注意点

地方物件ならではの工夫

地方の一戸建て、特に広い間取りの物件は、都市部と比べて買い手が限られます。早期に売却するためには、いくつかの工夫が効果的です。

まず、複数の不動産会社に査定を依頼することです。地元の不動産会社は地域の相場や需要を熟知しているため、大手だけでなく地元業者にも相談するとよいでしょう。

次に、物件の第一印象を改善することです。内見時の印象は購入判断に大きく影響します。最低限の清掃や、必要に応じてクロスの張り替えなど簡易的なリフォームを行うだけでも、印象は大きく変わります。

また、空き家バンクの活用も一つの手段です。多くの自治体が空き家バンク制度を運営しており、移住希望者と空き家所有者をマッチングしています。

よくある失敗パターン

実家じまいで陥りがちな失敗として、「もう少し待てば高く売れるかもしれない」と判断を先延ばしにするケースがあります。しかし、地方の不動産は経年とともに価値が下がる傾向にあり、建物の劣化も進みます。固定資産税や管理費用もかかり続けるため、総合的に見れば早期売却のほうが有利になることが少なくありません。

また、親族間の合意を取らずに進めてしまうことも、後々のトラブルにつながります。特に相続が発生した後は、法定相続人全員の同意がなければ売却できないため、事前の話し合いが不可欠です。

まとめ

実家じまいは、精神的にも実務的にも負担の大きい作業です。しかし、放置すれば固定資産税の増額、建物の劣化、近隣への悪影響など、リスクは時間とともに膨らみます。空き家に関する法規制が強化されている今、早めの行動が最善の選択といえます。

まずは家族で方針を話し合い、親が元気なうちに少しずつ片付けを始めること。そして不動産の査定を受け、3,000万円特別控除などの税制優遇を活用しながら、最適な売却方法を選ぶこと。この2つのステップを意識するだけで、実家じまいの負担は大きく軽減できるはずです。「いつかやろう」ではなく、「今から準備を始める」ことが、結果的に最もスムーズな実家じまいへの近道です。

参考資料:

最新ニュース