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世界で加速する10代SNS禁止令、日本の対応は

by 小林 美咲
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16歳未満SNS禁止拡大と日本の現状

2026年に入り、世界各国で未成年者のSNS利用を法的に制限する動きが一気に加速しています。3月6日にはインドネシア政府が16歳未満のSNS利用禁止を正式に発表し、既存アカウントも3月28日から段階的に停止される見通しです。先行するオーストラリアに続き、欧州各国やアジア諸国にも規制の波が広がっています。

一方、日本では法的な利用禁止には至っておらず、フィルタリングやリテラシー教育を中心としたアプローチが取られています。この記事では、各国の最新規制動向を整理し、日本の現状と課題について解説します。

世界各国で広がるSNS利用禁止の動き

オーストラリア――世界初の法規制を施行

オーストラリアは2025年12月にオンライン安全法の改正法を施行し、16歳未満のSNS利用を事実上禁止する世界初の法規制を実施しました。SNS事業者には年齢確認の仕組みを導入する義務が課され、違反した場合には罰則も適用されます。

この法律の背景には、未成年者のSNS依存やネットいじめ、精神的健康への悪影響が深刻な社会問題として認識されてきたことがあります。オーストラリアの取り組みは世界的に注目を集め、各国の規制議論を加速させるきっかけとなりました。

インドネシア――アジア初の包括的規制へ

2026年3月6日、インドネシアのムティア・ハフィド通信デジタル大臣は、16歳未満のSNSアカウント保有を禁止する政府規制に署名しました。規制対象となる「高リスクプラットフォーム」にはYouTube、TikTok、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、Robloxなどが含まれます。

3月28日から既存アカウントの段階的な停止が始まり、全プラットフォームが義務を履行するまで順次実施されます。ポルノへの接触、ネットいじめ、オンライン詐欺、そして最も深刻なSNS依存から子どもを守ることが目的です。

インドネシアは「非西洋圏で初めて年齢に基づくSNSアクセス制限を導入した国」とされています。ただし、数千万人の子どもたちがコミュニケーションや情報収集の手段を失うとの批判もあり、表現の自由との兼ね合いが議論されています。

欧州各国――EU全体での規制法案も視野に

ヨーロッパでも未成年者のSNS規制が急速に進んでいます。フランスでは2024年の新学期から約200カ所の中学校でスマートフォン使用を禁止する「デジタルコンマ」政策を開始し、段階的に全国展開を進めています。

オーストリアでは14歳未満のSNS利用禁止が次の学年度前に施行される見込みで、ドイツのデジタル大臣もSNS禁止に大きな価値があると表明しています。アイルランドは16歳未満の利用禁止を含むオンライン安全対策を段階的に導入し、ノルウェーも15歳未満のSNS禁止計画を発表しました。

さらに、EUのマクグラス欧州委員は2026年後半にSNSを規制する新法案を提出する方針を明らかにしており、未成年の利用禁止がEU全体の検討課題として位置付けられています。

アメリカ――州単位で規制が拡大

アメリカでは連邦レベルの規制はまだ成立していませんが、州単位での動きが活発です。2025年までに16州でSNS利用に関する年齢制限法が成立しています。未成年者のSNS依存が社会問題化しており、Meta社など大手プラットフォーム企業に対する訴訟も複数進行中です。

日本の現状と独自の課題

フィルタリング中心のアプローチ

日本では2008年に「青少年インターネット環境整備法」が制定され、2018年に改正されています。この法律は携帯電話事業者に対して18歳未満の利用者にフィルタリング設定を義務付けるもので、SNSの利用自体を禁止するものではありません。

日本のアプローチは「利用禁止」よりも「リテラシー教育」と「フィルタリング」を重視している点が特徴です。海外で相次ぐ年齢制限型の規制とは異なる方向性と言えます。

深刻化するSNS関連のリスク

しかし、日本でも未成年者のSNS利用に伴うリスクは深刻化しています。警察庁のまとめによると、SNSやオンラインゲームを通じて犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは2024年の1年間で1,486人にのぼりました。また、小学生の約2割がSNS上で知らない人とやり取りをしているという調査結果もあります。

さらに、「闇バイト」と呼ばれるSNS経由の犯罪勧誘が社会問題化しており、10代の若者が特殊詐欺や強盗事件に加担するケースも増加しています。

政府の検討と今後の方向性

2026年2月、高市早苗総理大臣は参議院本会議で「青少年を有害情報や依存から守る環境整備は重要」と述べ、令和8年(2026年)を目途に具体的な対策をとりまとめる方針を示しました。

ただし、日本の場合は法的なSNS利用禁止よりも、SNS事業者の責任を明確化する方向での議論が有力です。京都大学の曽我部真裕教授も、事業者の責任明確化が必要だと指摘しています。

年齢確認の実効性と日本の2026年対策

規制の実効性をどう確保するか

各国共通の課題は、年齢確認の技術的な難しさです。生年月日の自己申告だけでは容易にすり抜けが可能であり、実効性のある年齢確認システムの構築が求められています。オーストラリアでもこの点が最大の課題とされています。

また、SNSを禁止しても別のプラットフォームやメッセージアプリに移行するだけではないかという指摘もあります。規制の目的である「子どもの安全」を実現するには、単なる禁止を超えた包括的なアプローチが必要です。

日本は独自路線を歩むのか

日本では保護者の意識や教育現場での取り組みに委ねる部分が大きく、法的禁止に踏み切るかどうかは不透明です。世界的な規制強化の流れを受けて、日本政府が2026年中にどのような具体策を打ち出すかが注目されます。

10代SNS禁止の国際潮流と日本の課題

世界各国で10代のSNS利用禁止が加速しています。オーストラリアが先陣を切り、インドネシア、欧州各国、アメリカの各州が続いています。日本は現時点で利用禁止には至っていませんが、SNS関連の犯罪被害が深刻化する中で、政府は2026年中の対策取りまとめに意欲を示しています。

各家庭でも、フィルタリングの適切な設定やSNSの利用ルールについて話し合うことが重要です。世界的な規制動向を参考にしながら、日本の実情に合った対策を考えていく必要があります。

参考資料:

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小林 美咲

キャリア・教育

キャリア形成・教育改革・リスキリングなど、人と学びの接点を取材。変化する時代に求められる「働く力」を問い続ける。

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