イラン有事で急落の日経平均、最後の買い場か
イラン有事で10.4%急落した日経平均
2026年2月27日に史上最高値の5万8,850円をつけた日経平均株価は、イラン有事の勃発により3月9日には5万2,728円まで急落しました。わずか10営業日で約6,100円、率にして10.4%の下落です。
中東情勢の緊迫化で投資家の間に不安が広がっていますが、一部の市場関係者は「この大相場の最後の買い場がやって来る」と指摘しています。果たして今の下落局面は絶好の仕込み時なのか、それともさらなる下落の入り口なのか。テクニカル分析と地政学リスクの両面から、今後の日本株市場の展望を整理します。
イラン有事と日経平均の急落
何が起きたのか
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対する軍事攻撃を実施しました。翌日にはイランの最高指導者が死亡する事態となり、中東情勢は一気に緊迫化しました。イランは報復として米軍艦船やイスラエル、湾岸諸国への攻撃を行い、さらにイラン革命防衛隊がホルムズ海峡付近の船舶に通過禁止を通告。事実上の封鎖状態に陥りました。
3月4日の日経平均は前日比2,033円安(3.6%安)の5万4,245円で取引を終え、歴代5番目の下落幅を記録しました。イラン情勢の長期化と原油価格の急騰が、投資家心理を大きく冷え込ませた形です。
原油価格の急騰が日本経済を直撃
ホルムズ海峡は世界の原油供給の約2割が通過する要衝です。日本は原油輸入の約94%を中東に依存しており、タンカーの約8割がこの海峡を経由しています。封鎖の影響は甚大です。
WTI原油先物価格は攻撃前の1バレル67ドル程度から、3月上旬には一時120ドル近くまで急騰しました。野村総合研究所のレポートによれば、原油価格の高騰は日本の物価上昇率を再び押し上げ、国民生活に悪影響を及ぼす懸念があります。
「最後の買い場」を支える根拠
テクニカル面からの分析
日経平均は3月9日の安値5万2,728円で、中期トレンドの基準となる75日移動平均線を一時的に下回りました。これは過去の大相場においても、調整局面の底値圏で見られるパターンです。
過去の事例を振り返ると、2024年8月の「令和のブラックマンデー」でも日経平均は75日移動平均を大きく割り込みましたが、その後は力強い反発を見せました。テクニカルアナリストの間では、75日移動平均からの乖離率が一定水準を超えると反発しやすいという経験則が知られています。
ファンダメンタルズは依然として堅調
イラン有事という外部ショックにもかかわらず、日本企業の業績は堅調です。2026年3月期は2桁増益が見込まれており、物価と賃金の上昇サイクル、企業の資本効率改善の動きも継続しています。
野村證券はイラン情勢を踏まえてもなお、2026年末の日経平均目標を6万3,000円、2027年末を6万9,000円で維持しています。三井住友DSアセットマネジメントも日本株の見通しを上方修正し、中長期的には買い場を探る局面が近づいていると分析しています。
「高市トレード」と海外資金の流入期待
2025年の衆院選で誕生した高市政権のもと、積極的な財政政策と成長戦略への期待が「高市トレード」として市場に織り込まれています。米国の利下げ観測と合わせて、海外投資家の日本株への関心が高まっている点も、下値を支える要因です。
3つのシナリオと注意点
シナリオ1:短期終結(楽観ケース)
イラン情勢が早期に収束すれば、原油価格は正常化に向かい、日経平均は年後半に7万円を視野に入れる展開が期待されます。このシナリオでは、現在の水準が「最後の買い場」となる可能性が高いです。
シナリオ2:長期化(メインケース)
紛争が数カ月にわたって継続するものの、全面戦争には至らないケースです。原油価格は80〜100ドル前後で高止まりし、日経平均は5万円台で一進一退の展開が続きます。年末にかけて6万円台を回復するシナリオです。
シナリオ3:戦争拡大(悲観ケース)
紛争が湾岸諸国を巻き込む全面戦争に発展した場合、原油価格はさらに急騰し、世界的なスタグフレーション懸念が高まります。日経平均は「弱気相場」の閾値とされる4万7,080円を割り込む可能性も指摘されています。
投資家が注意すべきは、地政学リスクの見通しが立ちにくい点です。「最後の買い場」という楽観的な見方にのみ傾かず、リスク管理を徹底することが重要です。ポートフォリオの分散や、原油関連・防衛関連銘柄への分散投資も選択肢として検討すべきでしょう。
75日線割れ後の買い場判断と原油リスク
日経平均株価はイラン有事により史上最高値から10%超の急落を経験しました。テクニカル面では75日移動平均割れという調整局面の典型的なシグナルが出ており、ファンダメンタルズの堅調さを考慮すれば、中長期的な買い場と見る専門家は少なくありません。
ただし、ホルムズ海峡の封鎖による原油価格高騰という不確実性は大きく、楽観一辺倒は禁物です。投資判断においては、イラン情勢の推移を注視しながら、段階的な買い増しやリスク分散を意識した戦略が求められます。短期的な値動きに惑わされず、日本経済のファンダメンタルズの強さに目を向けることが、この局面を乗り切る鍵となるでしょう。
参考資料:
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