バンテック新型コルドリーブスがいすゞベースに刷新
第3世代コルドリーブスとトラヴィオ採用背景
キャンピングカー市場で高い人気を誇るバンテック社の「コルドリーブス(CORDE LEAVES)」が、第3世代モデルとして大幅な進化を遂げました。最大の注目点は、ベース車両を従来のトヨタ・カムロードから、いすゞの新型キャンピングカー専用シャシ「トラヴィオ(Travio)」に変更したことです。
2026年1月末に幕張メッセで開催されたジャパンキャンピングカーショー2026で初公開された新型コルドリーブスは、過去最多の452台が出展されたイベントの中でもひときわ注目を集めました。なぜバンテックはベース車両の変更に踏み切ったのか。その背景と新モデルの魅力を解説します。
ベース車両変更の背景
普通免許で運転できるキャブコンへの需要
ベース車変更の最大の理由は、2017年の道路交通法改正にあります。この改正により、2017年3月12日以降に取得した普通自動車免許で運転できる車両は「車両総重量3.5トン未満・最大積載量2トン未満」に制限されました。従来のカムロード・ディーゼル車はこの基準を超えるため、準中型免許が必要です。
キャンピングカーの購入層が広がる中、若い世代が普通免許だけで運転できないという課題は、市場拡大の大きなボトルネックとなっていました。いすゞのトラヴィオは車両総重量3.5トン未満に設計されており、AT限定の普通免許でも運転が可能です。これにより、キャブコンタイプの購入ハードルが大幅に下がりました。
カムロードを取り巻く供給問題
もう一つの背景として、トヨタ・カムロードの供給不安があります。2025年にはカムロード・ディーゼル車の受注が一時停止され、キャンピングカー業界全体が「ベース車不足問題」に直面しました。トヨタの認証問題の影響もあり、カムロードの安定供給に対する不透明感が業界に広がっています。
さらに、カムロードのメンテナンスをトヨタディーラーが受けにくいという声も各地から上がっており、アフターサポート面での課題も指摘されてきました。こうした状況の中、いすゞがキャンピングカー専用シャシとして開発したトラヴィオは、安定した供給体制と充実したサポートを期待できる選択肢として浮上したのです。
新型コルドリーブスの進化ポイント
走行性能の大幅向上
トラヴィオベースへの変更は、走行性能に明確な進化をもたらしました。1.9リッターのディーゼルエンジンは最大トルク320N・mを発生し、カムロードのディーゼルエンジン(300N・m)を上回ります。低速域からスムーズに立ち上がるトルク特性により、重量のあるキャブコンでも軽快な走りが実現しています。
6速ATとの組み合わせも好評です。最小回転半径は4.4メートルと軽自動車並みで、狭い道や駐車場での取り回しが格段に楽になりました。車高はカムロードベースの296センチから287センチに低下し、重心が下がったことで高速走行時の安定性も向上しています。
先進安全装備の充実
トラヴィオには、プリクラッシュブレーキ、ブラインドスポットモニター、車間距離警報、車線逸脱警報、ふらつき警報など、充実した先進安全装備が標準搭載されています。大型の車体を持つキャブコンにとって、こうした安全装備は安心感に直結します。
従来のカムロードベース車両では、これほど充実した安全装備は望めませんでした。キャンピングカーで長距離を移動するユーザーにとって、疲労軽減と事故防止の両面で大きなメリットとなります。
新開発のFRPボディとバッテリーシステム
第3世代コルドリーブスでは、シェル(居住部分)も新開発のFRP一体成型ボディに刷新されました。空力特性を考慮したデザインにより、走行安定性と見た目の美しさを両立しています。2026年モデルでは、見る角度によって色合いが変化する「オーロラ」カラーのデカルも採用されました。
電装系では、バンテック独自開発の「ILiS ME(イリスミー)」バッテリーシステムを新搭載しています。容量は8kWhと大容量で、200V急速充電にも対応します。最大1,090Wのソーラーパネルを設置でき、オフグリッドでの長期滞在も現実的になりました。
拡大するキャンピングカー市場と今後の展望
過去最高を更新し続ける市場規模
日本のキャンピングカー市場は拡大を続けています。2024年の販売売上総額は新車・中古車合計で1,126.5億円に達し、過去最高を更新しました。この10年間で市場規模は約4倍に成長しています。累積保有台数も15万5,000台を超え、旅行だけでなくリモートワークや災害時の避難用途としても注目を集めています。
こうした市場拡大の中で、キャブコンタイプは「居住空間の広さ」と「設備の充実度」で根強い人気があります。ただし、車両サイズや免許区分がネックとなり、購入をためらうユーザーも少なくありませんでした。普通免許で運転できるトラヴィオベースのコルドリーブスは、この課題を解消する一台です。
注意すべきポイント
新型コルドリーブスを検討する際には、いくつかの注意点があります。まず価格帯です。キャブコンは一般的に高額で、コルドリーブスも例外ではありません。ベース車両の変更に伴い、価格体系がどう変わるかは要確認です。
また、トラヴィオはまだ市場に出て間もないシャシです。長期的な信頼性やリセールバリューは、実績を積み重ねる中で評価が定まっていくことになります。購入前にはディーラーでの試乗や、既存オーナーの声を確認することをおすすめします。
普通免許キャブコンと8kWh ILiS MEの価値
バンテックの新型コルドリーブスは、ベース車両をいすゞ・トラヴィオに変更することで、走行性能・安全性・免許対応の3つの課題を一挙に解決しました。普通免許で運転できるディーゼルキャブコンという新たなカテゴリーは、キャンピングカー市場のすそ野をさらに広げる可能性を秘めています。
新開発のFRPボディや8kWhの大容量バッテリーシステム「ILiS ME」など、居住性能の進化も見逃せません。キャンピングカーの購入を検討している方は、2026年のジャパンキャンピングカーショーでの展示動画やディーラーでの実車確認をおすすめします。キャブコンの常識を変える一台として、今後の市場動向にも注目です。
参考資料:
関連記事
ダイレクトカーズ新作DN-75が放つ個性派キャンパー戦略の正体
ダイレクトカーズの新作DN-75は、装備競争ではなく見た目の世界観で選ばせる個性派キャンパー戦略の象徴だ。保有台数17万3000台で市場拡大が続く一方、供給制約が残る中、サンドベージュや角張った造形で誰向けの旅かを明確にする発想がなぜ強みになるのか。新作群に通底する設計思想と差別化戦略の正体を分析。
セミオーダー型キャンピングカーが660万円台を実現した戦略
660万円台を実現したセミオーダー型キャンピングカーの戦略を解剖。価格上昇が続く市場で、商用バンベースのバンコンに必要装備をどう最適化し、自由度とコストを両立させたのかを整理する。欲しい装備だけを選べる設計思想が、需要拡大期の売り方と購買行動をどう変えるのかを分析。価格競争時代の新機軸をどう読み解く。
アーチオン発足で問われる日野ふそう統合といすゞ追撃の現実と難路
日野自動車と三菱ふそうを束ねるアーチオンは、統合で規模を得ても日野の認証不正後の信頼回復、5工場から3工場への再編、いすゞ・UD陣営との差、中国EV勢の攻勢を同時に背負う。商用車の脱炭素投資は電池、燃料電池、ソフトウェアまで広がる。25%ずつの親会社出資と上場前提の資本構造が投資判断を縛るなか、追撃の条件を読み解く。
ヤマハCROSSCORE RVが示す通勤兼冒険eBikeの実力
ヤマハCROSSCORE RVは、通勤と週末の冒険を1台でつなぐeBikeとして通用するのか。CROSSCORE RC譲りの街乗り性能に未舗装路対応を加えた設計、38万円という価格の妥当性、向く用途と注意点を公式仕様と試乗レビューを踏まえて実力ベースで分析。万能に見える1台の適性と限界を購入目線で読み解く。
最新ニュース
星のや奈良監獄が全室スイートで挑む文化財再生ホテル経営の勝算
6月25日に開業する星のや奈良監獄は、明治五大監獄で唯一全貌を残す旧奈良監獄の舎房を9〜11室連ね、全48室の高級滞在へ転換する。刑務所体験ではなく全室スイートを選んだ狙いを、保存コスト、客室単価、ミュージアム連携、奈良観光の分散効果、星野リゾートのブランド戦略、開業後の論点まで企業分析の視点で読み解く。
バークシャー後に浮上する長期保有型の日本株10銘柄候補を読む
バフェット退任後のバークシャーが日本で次に選び得る銘柄を、商社投資と東京海上提携の共通項から分析。Toyota、NTT、MUFG、日立など10社を、事業の耐久性、資本政策、円建て調達との相性、規制リスクで比較し、少数株投資として成立する条件と候補の限界、個人投資家の今後の確認順序を実務的に読み解く。
AI外骨格Hypershell Xが登山を変える可能性と課題
Hypershell Xは腰のモーターとAI制御で脚上げを補助する消費者向け外骨格です。高尾山のような低山で効く場面、公式価格899ドルからの現実味、電池・装着感・下り坂・混雑路の課題、医療機器ではない限界を、電動アシスト自転車との違いも含め、実機レビューと公式仕様から技術と産業動向の両面で読み解く。
手柄横取り同僚に潰されないための職場防衛とメール記録術の基本
令和5年度調査でパワハラ相談があった企業は64.2%。メールのCc外しや発言横取りは、評価と心理的安全性を揺さぶる職場リスクです。手柄を守るメール文面、上司へ相談する事実整理、チームで再発を防ぐ評価ルール、相談前の記録表、評価面談で貢献を埋もれさせない伝え方まで、明日から使える実践策を厚労省指針などから解説。
39歳から痛風と脂肪肝を遠ざける15分ジム習慣の続け方実践入門
痛風発作を繰り返す人や脂肪肝を指摘された働き盛りに向け、尿酸値、肝臓脂肪、15分運動、食事管理の関係を公的資料と医療情報から整理。徒歩圏のジムを続ける仕組み、検査値の見方、飲酒や甘い飲料の減らし方、筋トレと有酸素を組み合わせるコツ、検診前後の記録法と医師に相談すべきサインまで3カ月改善術を実践的に解説。