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南砂町駅大改良の全体像東西線2面3線化と混雑緩和の実装工程図

by 伊藤 大輝
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木場→門前仲町150%が示す東西線課題

東京メトロ東西線の南砂町駅で続く大規模改良工事は、単なる駅の更新ではありません。目的は、首都圏でも混雑が厳しい東西線で、列車の詰まりやホーム上の危険を減らすための輸送改善です。見た目には出入口の閉鎖や新改札の設置、ホーム配置の変更が目立ちますが、本質は駅構造を変えて列車のさばき方そのものを変えることにあります。

国土交通省の2024年度混雑率調査では、東京メトロ東西線の木場→門前仲町が150%でした。東西線がなお高負荷路線であることは変わっていません。この記事では、南砂町駅の工事で何が造られているのか、なぜ2面3線化が必要なのか、利用者にとって何が便利になり、何がまだ暫定状態なのかを整理します。

南砂町駅改良が担う役割

東西線輸送改善の一部という位置づけ

南砂町駅の工事は、単独の駅改良ではなく、東西線全体の輸送改善メニューの一部です。東京メトロは2016年、東陽町駅の新出入口・改札口の供用開始を発表した際、南砂町駅、木場駅、茅場町駅の改良工事や、飯田橋~九段下間の折り返し線設置工事を通じて東西線の輸送改善を図ると説明しました。つまり、南砂町駅は長年続くボトルネック対策の中心のひとつです。

東西線では、駅での乗降時間が少し延びるだけでも、その遅れが後続列車に伝わりやすい構造があります。とくにホームが限られる駅では、前の列車が発車しないと次の列車が駅に入れず、駅間での停車や列車間隔の乱れが起きやすくなります。南砂町駅の大改良は、この詰まりを構造側から減らす狙いを持っています。

2面3線化で変わる運行余裕

東京メトロの2024年3月資料によると、この工事は南砂町駅の線路とホームを増設し、最終完成後に同一方向の列車が交互に発着できるようにするものです。工事前は、前の列車が発車しないと後続列車がホームへ入れず、駅間停車が発生しやすい構造でした。工事完了後は、ホーム増設と線路増設によって、前の列車が停車中でも次の列車がホームに入れるようになり、列車遅延の防止とホーム上の安全性向上を図るとされています。

ここでの重要点は、ホームが増えること自体より、列車の処理能力が増すことです。東西線のような高頻度運転路線では、数十秒の遅れが連鎖しやすく、折り返しや待避よりも、駅進入の詰まりをどこまで減らせるかが安定運行を左右します。南砂町駅の2面3線化は、華やかな再開発ではなく、地味でも効く運行改善策といえます。

工事の中身と現在地

3回の線路切替と暫定レイアウト

南砂町駅の線路・ホーム増設は、一度に完成する工事ではありません。東京メトロは、最終完成までに合計3回の線路切替工事を予定しています。2024年5月の第1回線路切替工事では、中野方面行きの線路を南側に切り替え、増設したホームの供用を始めました。その際、東陽町~西葛西駅間を2日間終日運休し、大規模な運行変更を実施しています。

第1回切替後の営業形態も特徴的です。東京メトロ資料では、第2回線路切替工事完了までの間、2つのホームを3本の連絡通路でつなぐ形状で営業すると説明しています。階段、エスカレーター、エレベーターは2番線中野方面行きホームに設置され、1番線西船橋方面行きホームへは連絡通路を介して移動する暫定運用です。工事の恩恵を受けつつ、まだ完成形ではないということです。

出入口再編とバリアフリーの進展

利用者に見えやすい変化は、出入口と改札の再編です。2024年5月13日の暫定切替後、既存出入口の一部が廃止または休止され、新たな出入口4・5と新改札の供用が始まりました。さらに2026年3月28日には、3番出入口が新設された地下連絡通路経由で供用再開しました。一方で2a・2b出入口は、改良工事に伴い引き続き休止中です。

ただし、利便性が完全に後退しているわけではありません。東京メトロの駅設備案内では、南砂町駅は「地上~改札~ホーム」をエレベーターで結ぶ1ルートに対応しています。工事中でも最低限のバリアフリー動線を維持しながら、完成に向けて段階的にレイアウトを組み替えている姿が見えてきます。2026年3月26日のホームドア整備完了リリースでも、南砂町駅の一部番線は大規模改良工事の進捗を踏まえて整備予定とされており、設備更新も工事工程と一体で進んでいることがわかります。

第2回・第3回線路切替と2a・2b休止

よくある誤解は、2024年の線路切替で工事の本丸が終わったという見方です。実際には、現在の南砂町駅は暫定形で営業しており、最終完成までにはまだ複数段階が残っています。2面3線化の効果が本格的に出るのは、線路切替と設備整備が一通りそろい、列車の交互発着を運用として安定させられる段階です。

今後の注目点は三つあります。第一に、第2回・第3回線路切替でホームと線路の使い方がどう完成形へ近づくかです。第二に、休止中の2a・2b出入口や一部ホームドアがいつまでに戻るかです。第三に、駅改良の成果が東西線全体の遅延抑制へどこまでつながるかです。南砂町駅の工事は、駅の見栄えを良くする案件ではなく、混雑路線の信頼性を底上げする基盤整備として見る必要があります。

2面3線と交互発着で読む遅延抑制効果

南砂町駅の大規模改良工事は、東西線の慢性的な混雑と遅延を和らげるため、駅の構造を抜本的に作り替える長期プロジェクトです。核心は、2面3線化によって同一方向列車の交互発着を可能にし、駅進入の詰まりを減らすことにあります。

現時点では、出入口の再編や暫定ホーム運用など不便も残りますが、これは完成形へ向かう途中段階です。ニュースを追う際は、出入口の開閉だけでなく、線路切替の進捗、ホームドア整備、東西線の遅延抑制効果という3つの視点で見ると、この工事の価値がつかみやすくなります。

参考資料:

伊藤 大輝

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