コナズ珈琲の新業態KNOWS COFFEEが狙う戦略
津田沼1号店で始まるKNOWS COFFEE戦略
丸亀製麺で知られるトリドールホールディングス傘下の株式会社KONA’Sが、ハワイアンカフェ「コナズ珈琲」から派生した新ブランド「KNOWS COFFEE(ノーズコーヒー)」の1号店を2026年3月18日にオープンしました。出店先はイオンモール津田沼Southの2階で、京成線新津田沼駅に直結する好立地です。
従来のコナズ珈琲が郊外ロードサイドに90〜130坪規模の大型店を展開してきたのに対し、KNOWS COFFEEは店舗面積を半分以下に抑えたコンパクト業態として設計されています。「高品質だけど日常使いできる」というコンセプトは、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する現代の消費者ニーズを的確に捉えた戦略といえます。この記事では、KNOWS COFFEEの特徴やトリドールグループのカフェ戦略について詳しく解説します。
KNOWS COFFEEの店舗コンセプトと特徴
「いちばん近いサンセット」が意味するもの
KNOWS COFFEEが掲げるコンセプトは「いちばん近いサンセット」です。これは、ハワイのサンセットタイムに感じるような穏やかなひとときを、仕事帰りや買い物の合間といった日常のシーンで気軽に体験できることを意味しています。
コナズ珈琲が「非日常のハワイ体験」を提供する週末型カフェレストランだったのに対し、KNOWS COFFEEは日常の中に溶け込む「近い存在」を目指しています。ブランド名の「KNOWS」には、一人ひとりの「今日のいい感じ」を理解し、その日の気分に寄り添うという意味が込められています。
コンパクト設計と駅近立地
1号店の津田沼店は55席を備え、カウンター席、テーブル席、ソファ席と多様な座席タイプを用意しています。営業時間は朝7時から夜10時までと幅広く、モーニングからディナータイムまでカバーしています。
従来のコナズ珈琲は郊外の生活道路沿いに大型店舗を構え、あえて回転率を求めない居心地重視の運営スタイルが特徴でした。平均滞在時間は約2時間ともいわれています。一方、KNOWS COFFEEは駅ナカや商業施設への出店を前提とした設計で、短時間でも充実した体験を提供できる業態に仕上げています。
メニューの独自性と価格戦略
希少なコナコーヒーを2製法で提供
KNOWS COFFEEの看板メニューは、100%ハワイ産コナコーヒーです。特筆すべきは、「ウォッシュド」と「ナチュラル」という2つの精製方法を選べる点です。ウォッシュド製法はすっきりとしたクリーンな味わいが特徴で、ナチュラル製法はフルーティーな香りと酸味が楽しめます。いずれも1杯850円で提供されています。
チェーン店でありながら精製方法の違いを楽しめるのは珍しく、スペシャルティコーヒー専門店に匹敵する体験を手軽に提供しています。このほか、KNOWSラテ(520円〜620円)やいちご抹茶ラテ(580円〜680円)など、日常的に楽しめる価格帯のドリンクも揃えています。
1枚190円からのパンケーキバー
フードメニューの中心はパンケーキです。店内には「パンケーキバー」が設けられ、目の前で1枚ずつ丁寧に焼き上げる様子を楽しめるライブ感のある空間になっています。
価格設定も特徴的です。ホイップバターパンケーキは1枚190円から、トリュフバターパンケーキは290円と、気軽に1枚から注文できるスタイルを採用しています。ティラミスパンケーキやストロベリーソースパンケーキといった本格的なメニューも780円で提供されており、スイーツとしての満足度も高い構成です。ブリュレパンケーキは目の前でバーナーで仕上げる演出があり、エンターテインメント性も兼ね備えています。
トリドールグループのカフェ戦略
コナズ珈琲の成長と分社化
コナズ珈琲は2013年の1号店オープン以来、着実に店舗数を拡大してきました。2023年4月には事業を分社化し、株式会社KONA’Sとして独立した運営体制を構築しています。2025年時点で全国に51店舗を展開し、売上収益は110億円を超える規模に成長しました。
トリドールホールディングスの決算資料によると、コナズ珈琲は既存店の客数・客単価がともに上昇し、事業利益でも大幅な増益を達成しています。季節限定フェアやSNSを活用した情報発信が集客力の向上に貢献しているとされています。
郊外型から都市型への展開
コナズ珈琲はこれまで「あえて不便な場所に出店する」という逆張り戦略が注目されてきました。郊外のロードサイドに広い店舗を構え、ゆったりとした時間を過ごすハワイアンカフェレストランとしてのブランドを確立しています。
KNOWS COFFEEの登場は、このブランド資産を活かしながら、これまで手が届かなかった駅前や商業施設の顧客層を取り込む二軸戦略といえます。店舗面積を半分以下に抑えることで、賃料の高い都市部・駅前立地への出店障壁を下げ、出店スピードの加速が期待されます。
1兆2000億円市場で問われる55席業態の再現性
カフェ業界の競争環境
日本のカフェ市場は拡大傾向にあり、喫茶店市場規模は約1兆2,000億円に達しています。スペシャルティコーヒーへの関心が高まる中、大手チェーンから個人経営の自家焙煎カフェまで、競争は激化しています。
KNOWS COFFEEが差別化のカギとするのは「ハワイアンの世界観」と「コナコーヒーの希少性」です。ただし、コンパクト業態にすることで、コナズ珈琲の最大の強みであった「ゆったりとした非日常空間」をどこまで維持できるかが課題となります。55席という規模で、混雑時にも居心地の良さを保てるかどうかは、今後の店舗運営で問われるポイントです。
今後の出店計画
2号店は2026年5月下旬に埼玉県越谷市のイオンレイクタウンにオープンが予定されています。いずれも大型商業施設内への出店であり、ファミリー層や買い物客を取り込む戦略が明確です。トリドールグループは出店体制の強化とエリア拡大を掲げており、KNOWS COFFEEの展開スピードにも注目が集まります。
高品質×タイパを狙うKNOWS COFFEEの勝ち筋
KNOWS COFFEEは、コナズ珈琲が培ったハワイアンカフェのブランド力を活かしつつ、コンパクトな店舗設計と駅近立地で「日常使い」を可能にした新業態です。100%コナコーヒーの2製法提供や1枚190円からのパンケーキバーなど、品質と手軽さを両立するメニュー構成が特徴的です。
カフェ業界の競争が激化する中、「高品質×タイパ」という消費者ニーズに応えるこの戦略が成功するかどうかは、今後の出店ペースと既存店の実績が示すことになります。まずは津田沼の1号店、そして5月予定の越谷2号店の動向に注目です。
参考資料:
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