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新卒で入りやすい高年収企業の見極め方と有望業界の最新動向整理

by 小林 美咲
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はじめに

「新卒で入りやすく、しかも年収が高い会社はどこか」という問いは、就職活動では定番です。ただし、このテーマは単純なランキングだけで読むと誤解しやすい分野でもあります。公開データだけで厳密な“入りやすさ”を測るのは難しく、企業ごとの応募者数や実倍率はほとんど開示されないからです。

その一方で、採用予定人数、募集対象の広さ、初任給、平均年間給与、離職率といった公開情報を横断すれば、かなり実態に近い景色は見えてきます。この記事では、2026年卒の新卒市場全体の地合いを確認したうえで、日立、NEC、NTTデータ、CTC、SCSKといった企業の公開データを比較し、「入りやすさ」と「高年収」をどう両立して見るべきかを整理します。

売り手市場が続く新卒採用の地合い

大卒求人倍率と就職率の高止まり

まず前提として、2026年卒の新卒市場は依然として売り手市場です。リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査では、2026年卒の大卒求人倍率は1.66倍でした。前年の1.75倍からはやや低下したものの、企業側の採用意欲はなお高水準です。

就職の実績面でも、厚生労働省と文部科学省の共同調査では、2025年4月1日時点の大学生就職率は98.0%でした。景気や業種のばらつきはあるものの、全体としては「仕事がない」局面ではなく、「どの企業が学生を取り合うか」が争点になっています。

この状況は、「高年収だが超難関の一部企業」だけでなく、「採用数をある程度確保しながら待遇を引き上げる企業」にも追い風です。企業側は人員確保のため、単に知名度だけでなく、初任給や家賃補助、職種別採用、研修投資まで含めて魅力を打ち出す必要が強くなっています。

初任給引き上げの常態化

マイナビの2026年卒企業新卒採用予定調査では、初任給の引き上げ予定がある企業は54.1%に達しました。さらに78.1%の企業が、2026年卒採用は厳しくなると見込んでいます。つまり、初任給引き上げは一部の先進企業だけの話ではなく、新卒採用市場全体の標準装備になりつつあります。

ここで重要なのは、初任給の上昇だけで「高年収企業」を判断しないことです。初任給が高くても昇給カーブが緩やかな企業もありますし、逆に初任給は標準的でも、30代で大きく伸びる企業もあります。新卒で狙うなら、初任給と中長期の賃金構造を分けて見る視点が欠かせません。

「入りやすさ」と「高年収」を測る評価軸

採用人数と募集対象の広さ

公開データで「入りやすさ」をみる場合、最も実務的なのは採用人数です。単純ですが、採用人数が大きい企業ほど、特定の少数ポストに全員が殺到する構図にはなりにくく、門戸が広い傾向があります。日立が2026年度に大学・大学院・高専卒で770人、NECが2026年度に800人、NTTデータが2026年度入社で874人を受け入れているのは、その典型です。

次にみるべきは募集対象です。全学部全学科なのか、理系中心なのか、職種別採用なのかで実際の難度は大きく変わります。たとえば日立は研究開発や設計だけでなく、営業、経理財務、調達、人事総務、法務、事業企画まで幅広い募集職種を示しています。CTCもエンジニア、営業、コーポレートスタッフを全学部全学科向けに募集しており、専門一本足ではありません。

さらに重要なのは、企業がどの時点で配属や専門性を求めるかです。NECはジョブマッチング採用を明示しており、入社前から挑戦したい領域や職種を選ぶ仕組みです。これは職種理解がある学生には有利ですが、逆に言えば「有名企業だからとりあえず応募」という受け方では通りにくくなります。採用人数が多くても、選考の設計によって実際の入りやすさは変わるわけです。

初年度処遇と中期賃金カーブ

年収面では、最低でも三つに分けて見る必要があります。第一に初任給、第二に家賃補助や賞与を含む初年度の実収入、第三に平均年間給与や30代以降の伸びです。これを混同すると、「初任給が高いだけの会社」と「中長期で高くなる会社」を同列に並べてしまいます。

日立は2026年4月実績として、学士卒で月額28万7000円、修士了で31万2000円を提示し、入社初年度の理論年収は学士卒約530万円、修士了約580万円としています。さらに時間外勤務手当や住宅手当などを含めた年収例は、学士卒約660万円、修士了約710万円です。これは新卒の初年度処遇としてはかなり強い水準です。

一方で、NECやCTC、SCSKのように、平均年間報酬や平均年間給与まで開示している企業は、中期的な賃金カーブも読みやすくなります。NECの2024年度の平均年間報酬は963万円、CTCの2024年度の平均年収は1090万円、SCSKの2025年3月期の平均年間給与は787.7万円でした。特にCTCは大卒2年目683万円、5年目775万円、7年目906万円という年収イメージも公表しており、若手の伸びを読みやすい点が特徴です。

公開データで見える有望企業群

日立・NEC・NTTデータに見る大型採用

大型採用と高めの処遇を両立している代表例として、まず日立が挙げられます。2026年度の新卒採用計画は大学・大学院・高専卒770人、高校卒45人です。しかも2026年度からは新卒採用を完全にジョブ型へ移行し、文理の枠組みに依らない採用も打ち出しました。これは「大量採用だが画一的」ではなく、成長領域の人材を職種別に取りにいく戦略です。

日立の面白い点は、初年度処遇の見せ方がかなり具体的なことです。単なる月給表示ではなく、理論年収や住宅支援込みのモデル年収まで示しており、学生側が生活実感を持って比較しやすい設計です。採用人数の多さと処遇の透明性が両立しているため、「入りやすさ」と「高年収」の接点として見やすい企業です。

NECも同様に、量と処遇の両方が強い企業です。2026年度は新卒800人を採用する計画で、研究、技術開発、システムエンジニア、コンサルタント、営業、法務、人事など職種の幅も広いです。加えて、サステナビリティのデータ集では2024年度の平均年間報酬963万円、新卒採用3年後定着率94.5%を示しています。単に給与が高いだけでなく、入社後の定着が比較的高い点も見逃せません。

NTTデータは、公開される報酬情報の形式がNECやCTCとはやや異なりますが、「入りやすさ」の側面では有力です。2026年度入社式では新入社員数874人が示され、ESGデータでもFY2023の新卒採用数は単体674人でした。大規模採用を継続しつつ、グローバル事業拡大やAI領域を成長エンジンに据えているため、裾野の広さと将来の成長機会という意味で、ランキング上位に入りやすいタイプの企業だと言えます。

CTC・SCSKに見る高処遇の設計

平均年収の高さで特に目を引くのはCTCです。2024年度の平均年収は1090万円で、学士卒の初任給は30万1500円、修士了は32万1100円です。さらに大卒2年目683万円、5年目775万円、7年目906万円というモデルを公表しており、若手段階から高い報酬水準を狙いやすい構造が読み取れます。

しかもCTCは全学部全学科を対象にし、エンジニアだけでなく営業やコーポレートスタッフも募集しています。家賃補助は月額3万5000円、自立支援一時金は50万円で、初年度の可処分所得を押し上げやすい設計です。平均年収の高さが、若手向け手当や住宅支援と切り離されていない点は、就活生にとって実利があります。

SCSKは、CTCほど派手な年収イメージを前面には出していませんが、総合力が高い企業です。非財務情報では新卒採用者数が2024年3月期282人、2025年3月期309人と増えています。しかも2025年度入社者の文理比は、情報系35.4%、その他理系24.9%、文系39.7%で、理系専業ではありません。文系学生にも十分に門戸が開かれていることがわかります。

処遇面でも、SCSKの2025年3月期の平均年間給与は787.7万円、離職率は3.6%でした。平均給与だけを見ればCTCやNECより低いものの、採用人数、文系比率、離職率、働き方データまで公開しているため、実態を読みやすい企業です。ランキングで派手に見える企業よりも、こうした“総合点の高い大手SI”が、新卒ではむしろ狙い目になりやすい局面があります。

注意点・展望

このテーマで最も多い誤解は、「平均年収が高い会社ほど新卒でも得」という見方です。実際には、平均年収は年齢構成、管理職比率、賞与制度、残業代、海外比率などで大きく変わります。新卒が受け取る初年度の現金収入とは、かなり距離がある場合もあります。

もう一つの注意点は、「採用人数が多いから簡単」という短絡です。日立やNECのように採用人数が大きい企業でも、職種別採用やジョブ型採用が進むほど、志望理由の浅さは通りにくくなります。逆に、業界理解と職種理解がある学生にとっては、こうした企業のほうが評価ポイントが明確で戦いやすいとも言えます。

今後の見通しとしては、AI、クラウド、サイバーセキュリティ、社会インフラDXに人材投資が続く公算が大きいです。日立は2026年度のキャリア採用計画を930人とし、新卒を上回る規模にしました。これは大企業が中途採用を強めていることを示しますが、裏を返せば、新卒でも成長領域に近い職種を選べるかどうかが、将来の賃金カーブを左右しやすくなるということです。

まとめ

公開データから見えてくるのは、「新卒で入りやすく年収が高い企業」は、単純な平均年収ランキングだけでは見つけにくいという事実です。見るべきなのは、採用人数、募集対象の広さ、初年度処遇、平均年間給与や定着率を組み合わせた全体像です。

その観点では、日立とNECは大型採用と高処遇の両立、CTCは若手から強い報酬設計、SCSKは門戸の広さと総合バランス、NTTデータは大規模採用と成長機会の大きさが魅力です。就活生が次にやるべきことは、ランキング記事をうのみにすることではなく、公式の採用ページと人的資本データを並べ、自分が狙う職種で本当に条件が合うかを見極めることです。

参考資料:

小林 美咲

キャリア・教育

キャリア形成・教育改革・リスキリングなど、人と学びの接点を取材。変化する時代に求められる「働く力」を問い続ける。

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