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ホンダCB400スーパーフォア復活の全貌と新技術

by 伊藤 大輝
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CB400復活とE-Clutch搭載の衝撃

2026年3月20日、大阪モーターサイクルショーのホンダブースに歓声が響きました。2022年に排ガス規制の壁を越えられず生産終了となった「CB400スーパーフォア」が、4年の沈黙を破って復活を遂げたのです。

今回公開されたのは「CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept」と「CBR400R FOUR E-Clutch Concept」の2台。どちらも完全新設計の直列4気筒エンジンを搭載し、ホンダ独自の電子制御クラッチ技術「Honda E-Clutch」を標準装備しています。コンセプトモデルとはいえ、その完成度の高さから2026年内の市販化は確実とみられています。

本記事では、製造業の技術革新という視点から、新型CB400シリーズに投入された技術の中身と、400ccクラスの市場にもたらすインパクトを掘り下げます。

30年の歴史を持つ「スーフォア」が直面した排ガス規制の壁

教習車からベテランまで愛された国民的バイク

CB400スーパーフォアは1992年のデビュー以来、日本の二輪市場を代表するモデルとして君臨してきました。クセのない素直なハンドリングと、回転数に応じてバルブ数を切り替える「HYPER VTEC」機構を備えた直列4気筒エンジンが生み出す、高回転域の伸びやかな加速感。教習車として多くのライダーが最初に触れるバイクであると同時に、ベテランからも「バイクの基本が詰まった一台」として支持を集め続けました。

30年にわたるロングセラーは、日本の二輪車史においても稀有な存在です。累計販売台数は膨大な数に上り、中古市場でも常に高い人気を保ってきました。

2022年、令和2年排ガス規制による生産終了

しかし2022年、その歴史に幕が降りました。国内向け二輪車に「令和2年排出ガス規制」(欧州のユーロ5に相当)が適用されることに伴い、ホンダは同年10月生産分をもってCB400SF/SBの生産を終了すると発表しました。

エンジンの基本設計が1986年のCBR400Rにまで遡ることができるほど歴史の長いユニットであり、新規制に適合させるためのコストが見合わなかったことが背景にあります。同時期にVFR800F/Xやゴールドウイングも生産終了となり、ホンダの国内ラインナップから伝統モデルが一斉に姿を消しました。

ファンの間では「もう400cc4気筒には乗れないのか」という落胆の声が広がり、中古車価格は高騰。CB400SFの復活を待ち望む声は年々大きくなっていきました。

完全新設計エンジンとE-Clutchがもたらす技術革新

約30年ぶりのオールニュー直列4気筒

新型CB400スーパーフォアに搭載されるのは、ゼロから設計し直した直列4気筒DOHCエンジンです。先代のエンジンが1986年由来の設計を改良し続けてきたのに対し、今回は完全な新設計となります。

注目すべきは、先代の象徴であった「HYPER VTEC」が採用されていない点です。代わりに、最新の電子制御技術を全面的に取り入れたアプローチが選択されました。スロットルバイワイヤシステムを採用し、ダイレクトなスロットルレスポンスを実現。エンジンの基本設計そのものを現代の排ガス規制と性能要件に最適化しています。

海外仕様のCB500スーパーフォアは502ccの排気量で展開されますが、日本仕様は400ccに設定されます。エンジンの基本構造を共有しながら排気量を変えるグローバル戦略は、開発コストの最適化と各国の免許制度への対応を両立させる、ホンダの生産技術力を象徴する手法です。

電子制御クラッチ「Honda E-Clutch」の仕組み

新型CB400シリーズ最大の技術的特徴が、「Honda E-Clutch」の搭載です。これは2023年にホンダが世界初の二輪車用として発表した電子制御クラッチ技術で、クラッチレバーを操作することなく発進・変速・停止が可能になるシステムです。

E-Clutchの核心は、2つの小型モーターとギアで構成されるドライブユニットと、モーター制御ユニット(MCU)にあります。エンジン回転数、スロットル開度、ギアポジション、シフトペダルの荷重、前後輪速度など、複数のセンサーからのデータをECUとMCUが連携して処理し、最適なクラッチ制御を自動で行います。

重要なのは、E-ClutchはホンダのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)とは異なり、ギアチェンジ自体はライダーが行うという点です。自動変速ではなく、あくまでクラッチ操作の自動化に特化しています。クラッチレバーも残されており、いつでも手動操作に切り替えることが可能です。

新型CB400に搭載されるE-Clutchは、従来のCB650Rなどに採用されていたものからさらに進化しています。ユニットの配置がエンジン右側から左側へ移設され、大幅な小型化を実現。エンジン設計の段階からE-Clutchの搭載を前提として開発されたことで、車体全体のパッケージングが最適化されています。

製造エンジニアの視点で見る技術統合の巧みさ

新型CB400シリーズの技術的な見どころは、個々の技術だけではありません。新設計エンジン、E-Clutch、スロットルバイワイヤ、HSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)、5インチカラーTFTディスプレイといった多数の電子制御デバイスを、400ccクラスという制約の中に統合している点にこそ、ホンダの設計・生産技術の真価が表れています。

フロントサスペンションにはKYB製の倒立フォークを採用。従来の正立フォークからの変更は、剛性向上とバネ下重量の低減を同時に実現するもので、車体全体の運動性能の底上げにつながります。リアサスペンションも先代のツインショックからプロリンク式モノショックへと変更され、路面追従性が向上しています。

2つのコンセプトモデルの個性と狙い

CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept:伝統のネイキッド

ネイキッドモデルであるCB400スーパーフォアの開発コンセプトは「Next Stage CB “すべての瞬間が、楽しさにつながる”」です。

スタイリングは、先代CB400SFの流れを汲みつつも、最近発表されたCB1000Fからのデザインエッセンスを取り入れた新世代の造形となっています。マフラーは4本のエキゾーストパイプを美しく束ねた4-1集合タイプの右1本出しで、かつてのCB400 FOURを想起させるレイアウトです。

カラーバリエーションは4色展開で、デジタルシルバーメタリックに青いグラフィックを配した「スペンサーカラー」は、1999年にHYPER VTEC搭載の初代CB400 SUPER FOUR Fで登場した伝統的な配色を現代的に再解釈したものです。ホワイトは日本専用カラーとして設定されています。

CBR400R FOUR E-Clutch Concept:新時代のフルカウルスポーツ

フルカウルモデルのCBR400Rフォアは「New Generation Sport “普段使いから得られる高揚感”」を開発コンセプトに掲げています。

金属を削り出したようなソリッドな面構成のフルカウルに、近未来的なデザインの灯火器を組み合わせた外観が特徴です。CB400スーパーフォアには設定されないラムエアダクトを、ヘッドライト下の左右2か所に専用装備として配置。セパレートハンドルの採用も含め、よりスポーティなキャラクターを明確に打ち出しています。

このCBR400Rフォアの存在は、2023年に登場したカワサキ Ninja ZX-4Rへの対抗という側面も持ちます。ZX-4Rは399cc直列4気筒エンジンで最高出力77PSを発揮し、400ccクラスのスーパースポーツ市場を事実上独占していました。ホンダがフルカウル4気筒を投入することで、このセグメントに本格的な競争が生まれることになります。

400ccクラスの市場と今後の展望

グローバル展開と日本市場での位置づけ

新型CB400シリーズの興味深い点は、そのグローバル戦略にあります。海外向けには502ccのCB500スーパーフォアとして先行発表されており、中国の重慶モーターショーで世界初公開されました。日本向けの400cc仕様は、400ccという日本の普通二輪免許制度に合わせたローカライズモデルという位置づけです。

生産は熊本製作所で行われることが決定しています。かつて日本専用モデルだったCB400SFが、グローバルプラットフォームの一環として復活する構図は、二輪車産業のものづくりのあり方が変化していることを示しています。

価格と競合環境の変化

価格については公式発表前ですが、先代CB400SFの最終モデルが約93万円であったのに対し、新型は新設計エンジンや電子制御装備の充実から100万円を超える水準になるとの見方が業界内では広がっています。

400ccクラスの市場では、カワサキのNinja ZX-4Rシリーズが4気筒スポーツとして存在感を示す一方、ホンダのCBR400R(2気筒)やカワサキのNinja 400といった2気筒モデルが主力を担ってきました。新型CB400シリーズの投入により、4気筒モデルの選択肢が大幅に広がり、400ccクラス全体の活性化が見込まれます。

ライダーからの期待と課題

大阪モーターサイクルショーでの反響は極めて大きく、ホンダブースにはCB400SFを一目見ようとするファンが殺到しました。SNS上でも「バカ売れしそう」「発売されたら即購入」といった熱狂的なコメントが相次いでいます。

一方で、今後注目すべき課題もあります。E-Clutchは利便性を大幅に高める技術ですが、従来のマニュアル操作にこだわるライダーがどのように受け止めるかは未知数です。また、価格が100万円を超える場合、大型二輪免許で乗れるより排気量の大きなモデルとの比較検討が進む可能性もあります。

新世代400ccが築く新基準への期待

ホンダが大阪モーターサイクルショー2026で公開したCB400スーパーフォアとCBR400Rフォアのコンセプトモデルは、単なる過去の名車の復刻ではありません。完全新設計の直列4気筒エンジン、Honda E-Clutch、スロットルバイワイヤ、TFTディスプレイなど、最新技術を惜しみなく投入した「新世代の400cc」です。

2026年内の市販化が確実視される中、熊本製作所での生産体制も整いつつあります。CB400SFの復活を待ち望んでいたファンはもちろん、これからバイクに乗り始める新世代のライダーにとっても、E-Clutchの搭載は大きな魅力となるはずです。伝統と技術革新を融合させたこの一台が、400ccクラスの新たな基準を打ち立てるか、注目が集まっています。

参考資料:

伊藤 大輝

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